今年の大河ドラマは、主君の上杉景勝(かげかつ)とともに戦国乱世を生き抜いた直江兼続(なおえかねつぐ)の生涯を描く「天地人」。兼続は他の武将に比べ知名度では劣るものの、「愛」の文字をかぶとに掲げ戦場に出たという異色の存在。下克上の時代に「利」より「愛」を信じたその生き方は豊臣秀吉を魅了し、徳川家康を恐れさせたという。
多くの武将に影響を与えた兼続の人生を通して戦国時代の新たな一面を描く。兼続は戦国末期から江戸初期にかけて上杉家の存続に力を尽くした家臣。上杉謙信の薫陶を受け、謙信がモットーとした「義」の意味を自分なりに解釈し、慈愛の「愛」にたどりつく。
「愛には人への愛、郷土や自然への愛などいろいろある。兼続らは(お金のような)見える部分ではなく、そういう目に見えないものに価値観を感じる人たち。日本人はもともとそういう人たちだったのでは」と内藤慎介チーフプロデューサーは魅力を語る。
兼続は豊臣秀吉に自分の家臣になるよう迫られるが、どんなに金を積まれても応じない。幼少期からともに育った主君、上杉景勝と正しいと信じた道を進んでいく。ただ戦国の世を勝ち続けたわけではない。関ケ原の戦いでは敗れた西軍に味方したため、会津120万石から米沢30万石に領地が移されてしまう。
「たとえ一番になれなくても人は愛を貫けば格好良く生きられる。兼続の人生にはそんなメッセージがあふれている」と片岡敬司(ひろし)チーフディレクターは言う。
そんな兼続を演じるのはNHKのドラマ初出演の妻夫木聡。「兼続を演じて自分も成長していくことで、愛のかぶとをかぶれる人間になりたい」と意気込みを語っている。脚本は朝の連続テレビ小説「どんど晴れ」(07年)などの小松江里子が担当する。
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